タイプ1「組織人型」が
考えるべきこととは?

 会社に定年前後までとどまるのは、多くのサラリーマンにとって自然な選択だ。だが、「その後」のことを考える必要がある。

「60歳くらいから後に、自分は何をして、いつまで働いて、いくらぐらい稼いでいるだろうか?」という問いに対して具体的な答えを考え始めて、必要なら準備に取り掛かるのが45歳だ。

 65歳以降すっかり引退して全く働かないという状態は、生活に張り合いを欠くだろうし、経済的にも心配なことが多いだろう。そして、何よりも「もったいない」。

 もちろん計画的に資産を作っておくことが望ましいのだが、十分なお金を貯めていなくとも、自分にとって好ましい仕事で働く機会を得ることができて、健康なら、機嫌良く生きていくことが可能だろう。豊かな高齢期を過ごすには、お金を貯める以上に、将来も「稼げる自分」を作ることが重要だ。

 セカンド・キャリアとして何を選ぶかは人それぞれだが、「稼げる自分」であるためには、仕事の「能力」と、その能力を買ってくれる「顧客」の二つを用意しなければならない。

 士業やコンサルタントなどで独立して稼ぐためには、資格を取得したり知識を仕入れたりすることが必要だろう。技術者の場合も、将来長く稼ぎ続けるためには知識を意識的にアップデートする時間が必要だろう。飲食店や商店、ペンションなどを開業するにも、調理などのスキルを身に付けたり、それぞれの業務における経営に必要な知識を獲得したりすることが必要だ。

 加えて、十分な能力があっても独立する場合は顧客が必要だし、事務職や技術職で働くなら雇ってくれる会社の目処をつけることが必要だろう。

「能力」と「顧客」はいずれも獲得に時間を要する。早く準備を始めるのでないと、自分が将来できることの選択肢がどんどん狭まって、貧相なものになってしまいかねない。

 60歳まで15年ある「45歳」を、セカンド・キャリアへの準備開始の時期に位置付けることが、多くのサラリーマンにとって適切なのではないかと思う次第だ。