多様化するニーズ
家で作るなら「イワシ」がおすすめ

 では、こうしたアンケートで見えてきた結果とは対照的に、高級化が進んでいるのはなぜなのでしょうか。

 その理由の一つは、ニーズの多様化です。実は、恵方巻きの価格帯とともに上がっているのが、そのバリエーション数です。例えば、大丸東京店では約100種もの恵方巻きを取り扱っています。その他の百貨店やスーパーでも数十種類扱っているケースが普通になってきました。高級な恵方巻きは、そうしたたくさんのバリエーションの中の一つであるともいえます。

 さらにもう一つの理由は、予約制が根付いてきたことです。予約制は、食品ロスの解消にもなるため、近年、百貨店やスーパーのみならずコンビニなどでも進められてきました。予約制では受注生産となるため、一部の人しか頼まない高級な恵方巻きでも無駄なく提供することが可能です。

 では最後に、魚の専門家としての観点から、おすすめの海鮮具材についてお話ししたいと思います。

 高級な恵方巻きにはしばしば海鮮が入ってきますが、今年でいえば、特に高騰しているイクラやウニなどは避けた方がコストパフォーマンスは良いでしょう。

 そもそも、恵方巻きは多彩な具材が入るため、少量であったり味が薄かったりするものにお金がかかっているのは得策とはいえません。その点、味が濃い赤身やうなぎ、食感や香りにインパクトのあるエビなどは、お金をかける価値があります。

 また、サバなどの青魚は価格の割に味がしっかりしていてコストパフォーマンスが良い具といえます。市販の恵方巻きにはあまり入っていませんが、自宅で手作りする際には、節分にちなんだ食材でもあるイワシを活用するのも手といえるでしょう。

 高級品も多々出てきている恵方巻きですが、一番のポイントは自分自身の好みに応じて楽しく選ぶことです。今年の節分は、健康と幸運を祈りながら、おうちで恵方巻きを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(おさかなコーディネータ ながさき一生)