レビュー
「人に気遣いをしよう」と言われると、「何だか疲れそうだな」とか、「損をしそうだ」なんて思っていないだろうか?本書『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』を読むと、そんな思い込みが一変するはずだ。
著者の藤本梨恵子氏によると、気遣いは必ずしも相手のためにするわけではない。「情けは人のためならず」という諺のように、相手のためにした気遣いは、巡り巡って自分に返ってくる。それが仕事やチャンス、お金、運などにつながっていくのだ。
「なぜあの人ばかり、うまくいくのか?」と感じる人との差は、もしかしたら普段の行動に隠れた気遣いなのかもしれない。かといって、自然な気遣いというのもなかなか難しいものだ。下心を持って接すれば、むしろ相手から嫌がられてしまうだろう。喜んでもらえる気遣いとは、どんなものなのか。
本書で提案する「気遣い100の習慣」は、相手に積極的に働きかけるのではなく、自分の在り方を変えるというスタンスだ。言葉遣い、身だしなみ、相手の様子を察するなど、ちょっとしたポイントに気をつける。自分から働きかけることが苦手だという人でも、実行しやすいだろう。
「頑張っているのに、なぜかうまくいかない」と嘆く人にとっては、本書で紹介している気遣いが、その謎を解き明かすヒントになるかもしれない。一緒にいて気分が良くなる人と、そうでない人。どちらの人と会いたいと思うかは明白だ。ささやかな気遣いから生まれる好循環を、実感できる一冊だ。(中山寒稀)