企業にも学生にも
実は「出会いの旬」がある

 同様に、就活にも旬があると私は考えています。最も多くの就活生が就活に取り組んでいる時期が就活生の旬であり、そして企業が最も採用活動を活発化させる時期が企業にとっての旬、という見方ができるのではないかと思います。そしてお互いの旬の時期に出会ったほうが、両者にとってよい相手を見極められるチャンスは増えるはずなのです。

 たとえば、企業が採用活動を早期化する中、学生の準備、すなわち企業研究があまり進んでおらず、自分自身も具体的な志望業界・企業が何もない状態のときに学生と企業が出会ったとしたらどうでしょう。学生はその企業を選ぶものさしを自分の中に持っていないので、仮にとてもいい企業、その学生に合う企業だったとしても、本人にはピンと来ない可能性があります。

 企業にとっても、あまりにも早くに学生に会ってしまうと、学生がまだ準備をし切れていない段階なので、表面的なスペック以上の判断材料がなく、本当に自社で活躍してもらえる人材かどうかまったく手がかりがない状態で、学生のことを正しく見極めることが難しくなります。

 いわば、お互いの理解がまだ早熟で相手と出会うことになり、本来お互いが「旬」の時期同士に出会えていれば、ちゃんとマッチングできたものが、できない可能性もあるわけです。

 こうしたことを踏まえると、これから本格化する就職活動は、まさに旬の時期に出会うべき企業に会える「本番」のチャンスと言えます。準備をしたけれどインターンに行けなかった、これまで何もしてこなかったといった諸々の個人の事情は一旦脇に置き、今日から悔いのない就活を新たに始めてほしいと思います。

 第一歩としては、まずは誰にでもできること、企業説明会の動画をたくさん見るなど接点を持つことから始めましょう。次回は内定を取るために必要な就活の心構えをお話します。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)