人は受ける企業の数が少なくなってきたり、期限が迫ってきたりすると、どうしても焦ってしまいます。そうなると悪循環で、「次に受けるところがもうこれで最後のチャンスではないか」などと思ってしまいがちです。これは行けなかった人、行かなかった人、そして就活のどの時点であっても共通して言えることですが、就活のプロセスではできるだけ一喜一憂しないことが鉄則です。ここから受ける企業をどれくらい増やせるか、どのくらい広げられるかが本当の勝負であり、今後の重要な動き方なのです。
ここまでで、学生の格付けはすでに昨年夏~秋あたりから始まっていてインターンで早期の選考は行われていること、ただそれは超優秀な一握りの人たちを青田買いするという意味合いで採用活動が最も活発化するのは3月~4月のまさにこれからであること、インターンに行けなかった人も行かなかった人もこれからが本番であること、というところまではおわかりいただけたかと思います。
NGをはっきり告げられず
「放置」状態になることも
第二に、これは少しつらい話ですが、覚えておくべきことがあります。採用が本格化して、結果が出始めると、受かった人、次の選考過程に進める人には早々に連絡が行きますが、選考に残れなかった場合、必ずしもはっきりと「今回は採用を見送らせていただきます。今後の就活がうまくいくよう心からお祈りしております」といった、いわゆる「お祈りメール」が来るとは限らないということです。
これは「サイレント」などと呼ばれることがあり、要するに就活生にはNGが告げられず、一種の「放置状態」のままにされるのです。特にその人が当落線上の微妙なラインにいる場合、連絡がないまま「繰り上げ」当選して、随分遅い段階で選考に通過したことが告知されることもありえます。精神的にはかなりこたえる状況ですが、とりあえずそのような状況に置かれるということを事前に知っておくだけでも、少しだけ余裕ができるはずなので、覚えておいてほしいと思います。
「コロナ禍で採用が早期化」は本当?
実は企業も疲れている
そして第三に、採用の早期化をどう考えるかについてお話しておきます。
コロナ禍も含め、企業自体、先行きの見えない経済状況の中で、採用がますます早期化しているとよく言われます。超優秀な学生をできるだけ早く確保しておきたいと思うのは当然で、確かにインターンの時期が早まっているという傾向もあります。しかし、実は闇雲な早期化は企業にとってもあまり得策とはいえないし、企業自体もそのことに疲れていると私は考えています。
たとえば、大学3年生の夏休みのインターンで超優秀な学生を確保できたとしても、そんな学生は他からも引く手あまたなので、それこそ頻繁にコンタクトして彼らの興味を引き続けるなど、ケアを手厚くしなければなりません。多くの企業はたったひとりを採用するわけではないので、1人の学生に対して、それから1年半以上入社のモチベーションを持たせ続けるために人手、つまりコストをかけるのは大変です。早期化すればするほど、その学生の興味・関心を「維持」しなければならない期間が長くなり、企業は疲弊してしまいます。
また、むやみな早期化はミスマッチを招きやすいリスクもあります。何事にも旬というものがあります。