<内々定とは>
○ 企業における新卒採用の場合、学生に内定通知を出せるのが卒業・修了年度の10月1日以降になっているため、その前に事実上内定が決まっている場合は「内々定」として扱う。
○ 内々定の通知は内定通知とは違い、企業側から採用通知書などの正式な書類は発行されず口頭もしくはメールなどの手段を使うことが多い。
<内定と内々定の違い>
○ 内定は企業と学生間に労働契約が成立しているが、内々定の場合には労働契約が成立していない。
○ 上の理由から、内々定の学生に対して企業が採用を取り消すことは可能だが、実際は内定の場合と同じく、企業が簡単に採用を取り消すケースはほとんどない。

会社都合で、新卒の内定を
取り消すことは可能なのか

「内定と内々定の違いはよく分かりました。そうなると、内定は労働条件が成立しているので採用取り消しはできないことになりますね」
「企業は原則として、労働契約の成立後にその契約を一方的に取り消すことができない。言い換えると内定を取り消すことはできないということです」
「原則と言いましたが、例外はあるのですか?」
「はい。客観的・合理的な理由があれば内定取り消しは可能です」

<内定が取り消される主な例>
○ 単位取得不足などの理由で学校を卒業できす、入社予定日になっても入社できない
○ 入社の際に必要な資格や免許を取得できず、募集した業務ができない
○ 採用の合否を判定するのに直接関係する経歴詐称があった
○ 病気やけがなど健康上の理由で働けなくなった
○ 内定者に犯罪行為や反社会的な行為があった
○ 企業の業績悪化など経営上やむを得ない理由により、雇用することができなくなった

「しかし、上記のケースに当てはまった場合でも、即座に内定取り消しができるのかというと違います。内定取り消し要件については過去の裁判で示された基準があり、簡単に言うと『企業がまったく知ることができなかった事実があり、このことを理由として内定を取り消すことが社会的に考えて納得がいくもの』でなければなりません」