中国資本が極東ロシアで行う大豆の作付け

 もっとも、黒竜江省と極東ロシアの農業協力は1990年代に始まり、20年以上の歴史がある。ロシアと国境を接する黒竜江省は2国間交易が盛んで、「黒竜江・ロシア農業産業協会」を母体に、中国企業が極東ロシアに進出する事例が多々見られる。

 地方紙「黒竜江日報」によれば、黒竜江省から120社が極東ロシアに進出し、7億ドルを投じて大豆栽培を行っている。中国からの9品種の大豆のテスト栽培を行うと同時に、育種、作付け、加工、流通、販売に至る産業チェーンの拡大とともに、海外輸出にも乗り出しているという。

 中国が大豆の輸入国に転じたのは、1996年だ。以来、世界最大の大豆の輸入国となり、今では9割を輸入に依存している。2020年は主にブラジル、米国、アルゼンチンから約9000万トンを輸入したが、この輸出国の構成に変化が生じている。

 2010年代中盤以降、ブラジルからの輸入が伸びる半面、米国からの輸入は減少、2018年にはブラジルが75%になる一方で、米国が18.9%(数字は米国農務省)にまで落ちたのだ。

 その一方で、じわじわと割合を増やしているのがロシア産の大豆だ。ただ、今のところ割合は2020年で100万トン程度と、全体の1%にも満たない。

 2019年8月に4400トンを超えるロシア産大豆が江蘇省南通で荷揚げされたが、これも中国がロシア産大豆の輸入を全面解禁したことに端を発している。その前月の7月25日、中国とロシアは大豆に関する協力発展計画に署名、大豆においても中露協力のもとで輸入を増やす計画だ。