ロシアへの経済制裁で
西側諸国が浴びる三つの返り血

 さて、このロシア制裁、日本に対する影響はどうなのでしょう? 日本にとってもロシアからの輸入額は全体の1.8%、それほど大きくはない点は他国と変わりはありません。ただ問題はその中身です。

 日本がロシアから輸入するものの大半はLNGや石油、金属といった資源です。その次に魚介類と木材。それらの品目を考えると、われわれ庶民の生活に打撃がありそうなものばかりが並びます。ロシアへの輸出が減る影響は日本にとってはさらに小さいのですが、それでも主力の輸出品である自動車分野の事業者にとっては、打撃は大きいでしょう。

 このようにプーチン大統領のウクライナ侵攻に対して、西側諸国が結束して経済制裁を行うのは、最も有効な対抗手段だったわけです。軍事行動よりははるかにましなうえに、足並みがそろいにくい政治的な非難よりも一部の西側諸国だけで効果が打ち出せるからです。

 とはいえ、日本を含む西側諸国が受ける返り血は三つあります。

 ひとつが世界的な原油高。ガソリン価格だけでなく、さまざまな経済活動で無視できない規模のオイルショック的事態が起きそうです。そして二つ目に、インフレのさらなる進行。

 そしてそこから起きる三つ目の影響が、インフレ対策のための金融引き締めです。これは確実に起き、その結果株価が下落するだろうという予測です。

 まとめてみると、ウクライナ侵攻によって2022年のわたしたちを取り巻く経済環境は悪くなりそうです。

 ウクライナ市民のために仕方ないとはいえ、コロナ禍で疲弊した日本経済にとっては大きな負担になりそうです。そしてそれがいつまで続くのかは、プーチン大統領がどこで折れてくれるか次第。早く彼の気が変わってくれるように祈るしかないようです。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)