ユニクロにバッシングの嵐だが
経済制裁の最大効果は「終戦」ではない 

 ユニクロへのバッシングが止まらない。

「家族一同、これからもユニクロは買わない着ない応援しないことになりました」
「is it okay to support the war?」
「Sayonara Uniqlo」

 実はユニクロは、ウクライナ支援として国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)経由で1000万ドルを寄付、ポーランドへ避難した人たちに防寒着なども提供している。しかし、その善行がチャラになるほど叩かれており、昨年、海外でも大きな話題となったウイグル族の人権問題も蒸し返されてしまっている。グローバル市場での悪影響と天秤にかければ、遅かれ早かれ「連帯」に加わるのではないかとみられているのだ。

 という話を聞くと、「プーチンの暴走を止めるためにはさらなる経済制裁をすべきだ」「営業停止では生ぬるい、グローバル企業はロシアからの完全撤退も検討すべきではないか」と前のめりになってしまう方もいるかもしれない。

 ただ、そういう連帯の呼びかけに水を差すつもりはサラサラないのだが、とにかくロシアへ厳しい経済制裁を続けていれば、プーチンが窮地に追い込まれて平和が訪れる、というようなサクセスストーリーを過度に信じてしまうのもちょっと危うい気がしている。

 実は国際社会においては、「経済制裁で戦争は終わらない」というのが常識だからだ。

 例えば、国連安全保障理事会のイラン制裁専門家パネル委員を務め、経済制裁に詳しい鈴木一人・東大公共政策大学院教授(国際政治経済学)は「朝日新聞デジタル」(1月26日)で、「戦争の代替物ではありますが、戦争と同じ効果を期待するのは難しい」として、その理由はこのように述べている。

<経済制裁は政治的に使いやすいツールですし、「制裁をした」と発表することで国民の憂さ晴らしにもなるという効果もあります。(中略)。相手の行動を変えるよりも、制裁を与えること自体が目的化しているともいえます>

 つまり、我々は、ロシアからトヨタが撤退したとか、マクドナルドが営業停止をしたとか、ロシアの富豪たちが資産を凍結されたという経済制裁のニュースを見て、「ざまあみろ!」と胸がスカッとしているが、それだけで終わってしまっていて、現実の戦争を終わらせることにはそれほど役立っていない恐れがあるということだ。