ダイヤモンド編集部は2017年、JAグループ京都の米卸、京山が販売したコメに中国産米が混入していた疑いがあるという記事を公表した。その後、ダイヤモンド社に損害賠償を求める訴訟を起こしたJA京都中央会幹部らは「(記事は)ウソだとすぐに分かる」「訴訟は100%勝てる」などと発言し、原告有利の印象操作を始めた。連載『農協の大悪党 野中広務を倒した男』の#23では、こうしたネガティブキャンペーンに含まれていた虚偽の内容を明らかにするとともに、ダイヤモンド社を含めたメディアの責任について論じる。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
筆者が有罪判決を受けると予想し
誤り認めて撤回したメディアも
JA京都中央会は産地偽装疑惑の記事を公表したダイヤモンド社に対して6億9000万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、4年間の係争の末に敗訴する。しかし、記事が掲載された2017年当初は強気な情報発信を繰り返していた。
「今回、『週刊ダイヤモンド』という三流の週刊誌が書きましたけれど、そのことがウソだとすぐに分かります」
これはJA京都中央会専務の牧克昌が、産地偽装疑惑の記事掲載から1カ月余り後に京都府が開いた「京都府食の安心・安全審議会」で発したセリフだ。
同審議会は、府内の有識者が食の安全について議論する場で、牧はその委員に名を連ねていた。立場上、JAグループ京都の米卸が販売したコメに産地偽装の疑いありとする記事に反発したくなる気持ちは分かるが、この場での牧の弁明には、事実に反する内容が複数含まれていた。
それらを指摘する前に、牧による記事への反論の中でもっともな点、つまり筆者が間違っていた箇所について反省を踏まえて明らかにしておく。