データとして、飲食店での感染よりも家庭内感染や施設内の感染が多いことが再々示されてきた。それにもかかわらず、営業時間の短縮、酒類提供の禁止など、必ずしも合理的ではない制限が飲食店には何度も要請され、現在もまん延防止等重点措置の適用地域ではそれらが続いている。

 有効な対策がない中で、政府や自治体がコロナ対策に「やっている感」を出すために、飲食店がスケープゴートにされた。しかも、自粛に対する協力金の支給は遅れ、小規模飲食店では通常営業するよりも自粛して協力金を受け取った方がもうかるような「自粛太り」が生じた。一方で、規模の大きな店舗では協力金を受け取ったところで家賃も払えないような不公平が放置された。

 また、自粛要請に従わない店の多くが事実上放置されてきた。その結果、規制時間外に営業を継続して大いに繁盛して、真面目に自粛する飲食店の客を奪う現象も起きた。

 飲食店が悪者視され、さらに営業が不定期・不十分になるなどの結果、経営の悪化だけではなく、やる気が低下したり、日常が乱れたりする飲食店経営者も現れるようになった。まことに気の毒だ。

 コロナの初期は要請を無視して営業する店に対して周囲の目が厳しかった。ところが、ここ1年くらいは営業を継続する店に対して、店の客ばかりでなく近隣の住民も共感を示すケースが増えてきた。飲食店を過剰にターゲットとすることの非合理性に多くの人が気づいたのだろう。

学生への悪影響も大きな懸念
彼らの人生にとって莫大な損失

 他方、飲食店の経営者など大人も大いに被害を受けたが、今後に悪影響が及ぶかもしれない点も含めて懸念を覚えるのは、学校に通う年齢の子どもたちだ。

 友達と遊ぶことも不自由で、修学旅行にも行けず、クラブ活動もできず、昼ご飯は「黙食」で、といった状況に2年間も耐えさせた。彼らの人生にとってどれほどの損失だったのかについて推計は難しいが、「莫大だったろう」という想像はできる。