いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。
何をするかより、何をしないか
「頭がいい」と言われる東大生ですが、頭がよければ株式投資で勝てるわけではありません。
投資で勝つ東大生と負ける東大生の違いがどこにあるのかというと、私は「勝負するエリアを明確にしているか」が大きなポイントだと思っています。
いまはさまざまな投資情報にアクセスしやすくなっており、昔に比べてプロの機関投資家と個人投資家の情報格差は小さくなっていると言われます。
確かに、決算書など企業に公表が義務付けられているものはインターネットで誰でも簡単に入手できますから、業績のデータについてはプロ投資家と個人投資家は同じ土俵に立っていると言っていいでしょう。
しかし、プロ投資家と個人投資家には、情報収集力において決定的な差があります。
プロ投資家は会社に直接、取材できるからです。
IR(投資家向け広報)担当者はもちろん、希望すればCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)にも会う機会があり、役員クラスとの面談が定期的に設定されているケースもよくあります。
経営陣から聞いた話を定点観測できるのですから、投資判断を下すうえで有利であることは言うまでもありません。
もちろんプロ投資家だからといってあらゆる企業に直接取材できるわけではありません。しかしプロ投資家は証券会社からすれば多額の手数料を払ってくれる「お得意様」ですから、証券会社の営業、トレーダー、アナリストなどから手厚いサポートを受けることもできるのです。
このように前提条件の大きな違いがある中で、たとえばソニーやパナソニックといった銘柄で個人投資家が勝負しようとすれば、プロ投資家に情報量で勝つことはできないでしょう。
たとえ「頭がいい」という強みを持つ東大生であっても、情報弱者という「弱み」があれば、勝敗の行方は読めません。