時価総額500億円以下をねらう
ではどうすればよいのかというと、自分が情報弱者にならないエリア、つまりプロ投資家が投資しない銘柄を狙うべきだということになります。
実は、プロ投資家はそれほど多くの銘柄をウォッチしているわけではありません。
東京証券取引所に上場している企業は約3800社ありますが、このうちプロ投資家が投資対象とする銘柄は800にも満たないのではないかと思います。
これは、プロ投資家はある程度以上の時価総額の銘柄にしか投資できないからです。
1000億円のファンドを運用するファンドマネジャーがいるとしましょう。
ファンドの5%(50億円)を投資するとして、時価総額が100億円しかない銘柄だとその企業が発行する株式の半分を保有することになってしまいます。
これでは自分が買うことによって株価を暴騰させてしまいますし、「5%以上の大口投資家」になると金融庁への報告義務も生じます。
このような理由から、ある程度の規模のファンドを運用する場合、組み入れる銘柄は時価総額1000億円以上というのが1つの基準になります。
時価総額が500億円に満たなければ、有望な企業でもアナリストはほとんどカバーしていません。
情報強者が集まる「誰もが知っている銘柄」で勝負するよりも、時価総額500億円未満、より安全を期すなら200億円未満という基準を設け、そのエリアで丹念に企業を調べて投資すれば個人投資家にも勝機は十分にあります。
大枠で「何をするか」ではなく「何をしないか」を考え、「自分は情報弱者だが、分析力では負けない自信がある。
だから情報力でプロ投資家に負ける銘柄は避ける」といい切れる人は強いです。
(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)