地の果てを思わせる風景を眺めに訪れたい
アタカマ砂漠

不毛の大地がどこまでも続くアタカマ砂漠不毛の大地がどこまでも続くアタカマ砂漠

 世界には多くの砂漠があります。地球上の陸地の約3割は砂漠であり、その場所ごとに独特の風景が広がっています。南米大陸の西岸に細長く連なるアタカマ砂漠は、南極から流れる寒流と世界最長の山脈であるアンデス山脈が造りだした砂漠です。太平洋岸を流れる冷たい海流によりこの付近の海の温度は常に低く、海水は蒸発しないので雨雲が作られません。また東から流れてくる雨雲はアンデス山脈に遮られて山を越えることができず、山の西側に雨を降らせることがありません。その結果山脈に沿って細長い砂漠が生まれることになったのです。

月面にいるような気になる荒涼とした風景が広がる月面にいるような気になる荒涼とした風景が広がる

 砂漠のイメージといえば、美しい砂丘が連なる砂漠をラクダのキャラバンが進んでいくような、『アラビアンナイト』の物語の一場面を想像する人がいるかもしれません。ここにはそんな砂漠のイメージはなく、徹底的に厳しい自然と寂寥感いっぱいの「果て」を感じる大地が広がっています。その一方で、1年365日ほとんど雨が降らない気候は、天体観測には理想的な環境。世界中の多くの研究機関がこの砂漠の標高の高い場所に観測所を設けています。日本の研究機関が中心となって設置した高性能の電波望遠鏡があるのもここで、アタカマ砂漠は宇宙研究の最先端の場所でもあるのです。