関空コンセッションでオリックスは
台風被害の対応で批判を受けた

 もっとも、あるオリックス関係者は「市にひたすら公費負担を求めていると批判されるが、軟弱地盤に巨大施設を建設するため、事業者側の持ち出しもある」と嘆く。

 オリックスは、関西国際空港と大阪国際空港(伊丹空港)の運営権の政府による売却(コンセッション)の条件が悪く、並み居る関西企業がそっぽを向く中、15年にフランスのバンシ・エアポートと組んで契約を結んだ。関西で、誰も引き受け手がない案件を手掛けてきたとの自負があるのかもしれない。

 ただ、18年の関空の台風被害におけるずさんな対応が批判され、オリックスとバンシ双方出身の幹部の仲たがいまで報じられた。引き受ける以上はまともな運営が必須であることは言うまでもないが、IRは始まる前から、土壌の問題に加え新型コロナウイルスの感染拡大、そしてロシアのウクライナ侵攻による将来の旅行需要の減少と、すでにリスクにまみれている。

 高橋氏が「毛頭ない」と言いつつも、「見極めをする時期が来るかもしれない」と話す撤退は、夢洲の地盤沈下以外の要因で起きるかもしれない。