一読のすすめ

 本書が紹介する事例は、職場で日常的にあるやりとりや営業、就職の面接など、実際に起こりうるシーンが中心だ。自分がテクニックを活用しようとする際にも、どんな場面で使ったら良いか具体的にイメージを持ちやすい。一つひとつのテクニックは、決して難しいものではない。事前に準備しておけば、無理なく実践できることだろう。

 要約では紹介しきれなかったが、書籍には伝わる「型」、できるリーダーの一言、売れる営業の一言など、シーンごとに真似したいセリフや考え方が満載だ。巻末付録では「心をつかむフレーズ」が索引としてまとめられていて、セリフをざっと眺めているだけでも次に発する自分の言葉が変わりそうだ。本書に興味を持った方には、ぜひ通読をおすすめしたい。

「できる人」と「できるけど評価されない人」の分岐点は、伝え方ひとつにあるのかもしれない。本要約で紹介できたのは、人を動かす会話術のほん一部だ。ぜひ、本書を手に取り、「できる人の伝え方」を自分のものにしてほしい。もしかしたら、今度自分が発する一言が、人生を大きく変えるかもしれないのだから。

評点(5点満点)

総合3.7点(革新性3.0点、明瞭性4.0点、応用性4.0点)

著者情報

大塚寿(おおつか ひさし)

 1962年、群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役。「営業サプリ」開発者。
 サボるのが大好きだった当然の報いとして高校・大学・就職とも第1志望に入れず、悶々とした日々を過ごす。ゼミの先輩の勧めからリクルートに入社後、上司、先輩、全事業部の仕事のできる先輩、社外の大手・中小企業の経営者、管理職に片っ端からアドバイスを求める。そこで仕事ができるようになる方法や競争力のあるキャリアデザイン、さらに「後悔しない方法」を聞き実践した結果、人生が好転、自己実現を果たす。インタビューは今も継続中で、人数は1万人を超える。歴史上の成功者や偉人よりも、身近な人の成功、失敗から学ぶことの合理性を痛感している。著書にシリーズ28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)、『50歳からは、「これ」しかやらない』『できる40代は、「これ」しかやらない』(以上、PHP研究所)、『〈営業サプリ式〉大塚寿の「売れる営業力」養成講座』(日本実業出版社)など30冊がある。

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