「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」は、“親が元気なうちに取り組むことが何よりも大切”というのは、最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』を出版した、片づけアドバイザーの石阪京子氏。実家に溢れるモノを整理し、お金を把握することで、親子ともに幸せになれるそのノウハウを、本書から抜粋・編集してお伝えします。

【1500軒以上を片づけたプロが教える】親が「認知症」になる前に、実家を片づけなければならない深刻な理由Photo: Adobe Stock

親が認知症になってしまったら

 本章の冒頭でもお話しした通り、実家片づけのゴールは「モノの片づけ」と「紙の片づけ」を両方終えることです。
 子どもの立場からいえば、実は「紙片づけ」のほうが、お金に直結するだけに、より重要度が高いです。

 親が認知症になってしまったら資産を動かせなくなるので、介護費用や、施設に入る場合のお金なども子どもが持ち出さなくてはいけなくなってしまいます。そうならないためにも「金目の紙=財産にまつわる書類」を子どもが早めに把握し、対処しておくことが大事だからです。

 しかし実家片づけのセミナーで、「実家の資産を把握している人は手を挙げてください」と言うと、手を挙げる人はほんの数人。参加者の9割以上は、親がいくらお金を持っているのか、どんな財産を保有しているのか、年金を毎月いくらもらっているのか、はたまた借金があるのかなどを把握していません。意外と、親自身が把握できていないこともあります。
 お金に関することは、とっても大事なことなのに、なぜか、なあなあにしてしまっていることが多いのです。

「紙片づけ」で借金が判明することも!

 私も、父と共に「紙片づけ」を始めて、父に、かつて連帯保証人になって押し付けられた借金があることを知りました。不当に請求されていたぶんもあったので、弁護士さんに対処していただき完済しましたが、もし、父がそのまま亡くなり、死後に初めて借金の額を知ったら、私は相続放棄を選ぶしかなかったでしょう。
 そういった想定外の事態を防ぐためにもなるべく早めに紙片づけに取り掛かり、介護や相続の不安をなくしておいたほうがよいのです。

 また、「モノの片づけ」においても「金目のモノ」のチェックは必須です。モノの中にも、金やプラチナ、絵画など資産価値があるものが交じっていることもあります。また、古いバッグやブランド陶器などで、高く売れるものもあります。

 要は、紙でもモノでも「お金に換わるもの」を、子どもがきちんと冷静に把握しておくことは、この先困らないためにとても大事。罪悪感を抱く必要はありません。遠慮なく、お金のことを聞くようにしましょう。

*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。