常日頃から「お茶はタダが当たり前」という感覚が強い中国人を、「烏龍茶」「黒烏龍茶」の虜にしてしまったサントリー。前回は、サントリー上海(三得利(上海)食品貿易有限公司)の福山泰広・董事長・総経理に、その戦略を詳しく聞いた。では、今後同社が中国市場で目指す新たなビジネスモデルとは何か? 福山董事長が、激動の市場で勝ち抜くための「修羅場の心得」をあますところなく指南する。

前回に引き続き、日系企業が熾烈な中国市場で生き残るための心得を説くサントリー上海(三得利(上海)食品貿易有限公司)の福山泰広・董事長・総経理。「こだわりがある商品で徹底抗戦するしか道はない」という。

――前回は、中国で黒烏龍茶の売り上げを伸ばした戦略について、詳しくうかがいました。では、黒烏龍茶以外に力を入れて販売している新商品はありますか?

 日本では売っていないサントリー中国オリジナル新商品「利趣(リッチ)」という乳飲料にも力を入れています。日本ではよく売れている「缶コーヒー」にはあまり価値を見出さない中国人向けに、飲みごたえのあるペットボトルの商品となっています。

 カフェラテ味の「利趣拿鉄」、抹茶ラテ味の「利趣抹茶」、ココアミルク味の「利趣可可」、イチゴミルク味の「利趣草苺」に加えて、コーヒーにミルクティをブレンドした「利趣鴛鴦」を足した5種類のテイストで販売しています。

 「利趣」は、どちらかというと男性が主なターゲットですが、こちらも黒烏龍茶に負けず劣らず売れています。ネスレもペットボトル入りコーヒー製品を出してきているほどです。

――黒烏龍茶はどのようなチャネルで販売していますか?

 現在は、コンビニ、ハイパーストア、日系レストランが主な販売チャネルです。主戦場となる華東地域のコンビニ、ハイパーストアに対しては、卸売を挟まずに直接取引しています。

 また今年から、油を多く使う中華料理と相性のよい黒烏龍茶を、中国のローカルレストランに積極的に展開していこうと思っています。その際には、華東地域で長年実績のある弊社ビール事業の販売チャネルを、うまく活用していくつもりです。