4月の小麦価格17%値上げで
今年後半の食品の値上げラッシュもほぼ確定

 さて、ここまでが足元の高級パン屋さんの業界事情なのですが、そこにもう一つ暗雲が近づいています。小麦価格の急騰です。

 農林水産省は、政府が買い付けた輸入小麦の価格を4月から17.3%引き上げると発表しました。日本は、小麦の需要のうち9割を海外からの輸入に頼っており、安定的に流通させる目的で政府が国家貿易によって計画的に輸入して、国内の製粉会社などに売り渡しています。

 その売り渡し価格が4月から大幅な値上げになるのです。さらに足元の国際相場を見ると、次の価格改定時期である10月には、さらに値上げしそうな状況だというのです。

 実は、読者の皆さんもご存じのように小麦製品は昨年来、値上げラッシュが続いています。その背景には、政府の売り渡し価格の度重なる値上げがあります。昨年4月に売り渡し価格は5.5%値上げし、10月には19.0%の値上げもありました。それを価格転嫁するために、パンやパスタ、うどんなどの小麦製品の小売価格が段階的に引き上げられてきました。

 今回はそこからの大幅値上げですから、今年後半も食品の値上げラッシュは続くことが確定したようなものです。

 さて、このような小麦の大幅な値上げにもかかわらず、今年の消費者物価指数の上昇は2%程度にとどまりそうだというのが、国内シンクタンクが発表する予測です。なぜなのでしょう。

小麦価格が17%上がっても
178円の食パンが2.6円しか上がらないカラクリ

 小麦の売り渡し価格値上げの発表に際して、農水省が小売価格への影響を試算しています。実は、その資料によれば、今回の小麦価格値上げで、1斤178円の食パンは2.6円しか上がらないと試算されています。