コロナ禍の長期化や自然災害などによって、苦戦が続くJR貨物。だが、SDGsやESGなど社会の持続可能性が大きな課題として浮上する中で、貨物鉄道の存在感が増している。とりわけ、カーボンニュートラルに向けた物流の取り組みが加速する中で、JR貨物の際立って高い環境特性が同社の企業価値を向上させている。真貝康一社長に現況や来期の事業計画、長期ビジョン実現に向けた進捗などを聞いた。(インタビュアー/西村旦・カーゴニュース編集長)
コロナの長期化や豪雪が
輸送需要の回復に影響
――コロナの長期化や自然災害の影響もあって、思うように輸送需要が回復していません。現状での業績見通しをどのように見ていますか。
真貝 2021年12月の段階では、22年3月末にはコロナが収束するとの前提に立って、単体・連結とも経常黒字を確保する計画を立てていました。実際、12月の輸送実績(曜日・災害補正後の数値)はコロナ前との比較でマイナス2%程度のレベルまで回復していましたので、3月になればコロナ禍の影響からも脱し切れるとの見通しを立てていました。
しかし、その直後から、オミクロン株による第6波が到来したことに加え、北海道地区や日本海側地区で豪雪による運休が相次いで起きてしまいました。その結果として、単体での経常黒字の確保は難しい状況にあり、何とか連結ベースでの黒字確保を目指しているというのが現状です。
――雪害の影響は思ったよりも大きかったと聞いています。
とくに2月に北海道、東北、上越地区を襲った豪雪の影響が大きかったです。とくに札幌地区では観測史上最大の降雪に見舞われ、運休などでお客様にご迷惑をおかけしてしまいました。
当社の経常利益における単体と連結との差額はおおよそ十数億円です。単体での黒字確保はかなり難しいものの、この部分が上乗せされることで、連結ではぎりぎり黒字になるかどうかといった状況が続いています。
――22年度の事業計画を策定中だと思いますが、どのような計画になるでしょうか。