SOICO(ソイコ)取締役COO 土岐彩花氏 Photo:DOLSOICO(ソイコ)取締役COO 土岐彩花氏 Photo:DOL

人生100年時代、60歳から先のキャリアプランについて真剣に考える人は多いだろう。複数の仕事を持つことを考えているのであれば、セカンドキャリアの選択肢の一つになりうるのが「社外取締役」という職業だ。なぜ今、社外取締役に注目が集まるのか。また、社外取締役になるためには、どのような知識が必要なのか……知られざる職業の実態に迫る。(ITジャーナリスト 末岡洋子)

一部上場企業で
社外取締役の不足が大きな課題に

 今、東京証券取引所の再編が、大企業に差し迫った課題の一つとなっている。これまで1部、2部、マザーズ、JASDAQと分かれていた市場区分が、この4月以降は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3区分に変わるのだ。プライム市場の基準の一つに「ガバナンス・コード全原則の適用」があり、このガバナンス・コードでは、社外取締役の比率を3分の1以上にすることを求めている(2021年6月の改訂版)。

 プライムを目指すと想定される東証1部上場企業は約2200社あるが、このうち500社弱が2021年度時点でその条件を満たしていない、と指摘するのは、スタートアップ向けコンサルSOICOの共同創業者で取締役COOを務める土岐彩花氏だ。SOICOは2021年、女性の社外役員に特化した人材紹介サービス「ジョトリー」を立ち上げている。 

「1人足りないのであれば約500人、3~5人が必要であれば1500~2000人の規模で不足していることになる。社外取締役は掛け持ちできるので、1人が4社兼務したとしても、500人ぐらいは必要になってくるだろう」(土岐氏)

 コーポレートガバナンスの強化は急な流れではなく、2019年の会社法改正で社外取締役の設置が義務化された。監査役会設置会社で有価証券報告書を提出している上場企業は、社外取締役を設置しなければならないというもので、同法は21年3月に施行されている。