活動時間は月5時間以下、
報酬は年600万~800万円がボリュームゾーン

 経済産業省が公開している2019年度の「コーポレートガバナンスに関するアンケート調査」によれば、取締役会の出席時間を除いた活動時間は、1カ月5時間以下が32%、10時間以下が64%となっている。

 気になる報酬だが、年600万~800万円が最も多い。企業の規模と報酬額は比例しており、JPX日経インデックス400企業では1200万~1400万円が最も多いゾーンだ。

社外取締役の報酬(出典:経済産業省)社外取締役の報酬(出典:経済産業省)

 任期は1年~2年。更新可能であり、企業側は長期間を望んでいるようだ。実態はというと、5年以下が84%を占めた。経産省では「平均すると6年程度が妥当と考えられている」としている。掛け持ちもできるので、複数社の社外取締役を務めることも可能だが、仕事の内容を考慮すると3~4社が上限だろうと土岐氏は話す。

社外取締役には
外部ならではの立場が求められる

 前述の通り、社外取締役の最大の仕事は、取締役会に参加して、監督、意思決定の助言、株主の意見反映を行うことである。ジョトリーでは社外取締役を目指す人向けに、「社外役員養成講座」を実施している。養成講座に参加していた講師の話から、仕事の内容や報酬について、さらに具体的に社外取締役の実態を知ることができた。

 監督とは、経営のモニタリングのようなもの。社外取締役には、外部ならではの立場が求められる。たとえば粉飾決算やセクハラ・パワハラなどの問題が起きたとき、社内の役員だけでは内部の上下関係や社内事情に合わせてしまい、感覚が鈍りがちだ。社外取締役には、第三者の視点で「ダメなものはダメ」とハッキリ言うことが求められる。

 意思決定への助言でも、社外の立場ならではの客観的な意見、あるいはその人が持つ専門知識が生きる。たとえば新しい商品や新規事業を進めるとき、社内の人間はそれまでの常識にとらわれてしまい、似通った意見がそろいがちだ。だが、社外取締役ならば客観的な視点を持って助言できることがあるだろう。このような役割を期待され、専門知識やネットワークを持つということで社外取締役に抜擢されるケースは多いようだ。