統廃合の目的は、もちろん賃料などの圧縮にある。このため、老朽化に伴う近隣への移転時などにも、スペースの狭小化が図られていることも多い。競合関係にある三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、一部の地区で全時間帯の利用手数料を相互に無料化するATMの共同利用を行っているが、目的は、店舗削減とATMの設置台数削減にある。台数を減らせば借りる面積を減らせて、その結果賃料も抑えられるという理屈だ。

「銀行のサービス縮小」はまだ続く?硬貨入金の有料化、支店統廃合…みずほ銀行神田駅前支店の移転のお知らせ
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 店舗を減らしているのは、みずほ銀行も同様だ。今年2月14日にも、JR神田駅そばの神田駅前支店を無人ATMコーナー化させ、そこから徒歩で約10分を要する神田支店に移転させた。

 移転に先立って神田駅前支店の口座保有者にDMを送付したものの、転居などで約2万通近くが返送されてきたとのことだ。無事に到着した分を含め、相当な数の利用者が対応変更を余儀なくされたわけであり、その案内のために銀行側も相応の費用を投じている実情がうかがえる。みずほ銀行では、昨年4月から今年3月までの間に、出張所を含め国内の24店舗を移転させている。

 こうした際に、一見しただけでは廃店していないように映る手法を採用することが昨今の中心となっている。コンピュータシステム上の店舗コード(店番)を残し、建物自体は別店舗に入居し同居するという「店舗内店舗(ブランチインブランチと呼ぶこともある)」形態とするものだ。以下の案内のうち、支店名が複数書かれているものの、住所が1カ所しか書かれていないものは、いずれもこの方式での統合が図られたものだ。

 実質的には、店舗の廃止・統合に他ならない。しかし、一見するとそれとは分かりにくい手法であり、支店名・店番号・口座番号がそのまま使用できるため、顧客からの苦情が減るとみられる。しかしながら、店舗の有人窓口や貸金庫などの利用の際には、統合先店舗まで足を延ばす必要があることは、通常の廃店と何ら変わらない。