まだある銀行のサービス縮小
普通預金利息の算出方法までも

 驚くことに、こうしたサービス縮小は、普通預金利息の算出方法にまで及んでいる。

 普通預金通帳に印字された利息額をご覧になったことがあると思うが、通常、利息は毎年2月と8月の年2回にまとめて支払われている。金利は自由化されているものの、日銀による大規模な緩和策が実施・継続されている現状では、普通預金金利は年0.001%程度が平均的となろう。

 公共料金の引き落としなど決済口座として使用され、残高が常時変動し続ける普通預金では、利息は毎日算出され、それが加算される仕組みだ。例えば、日本円100万円を1日利息がつく期間だけ預けた場合には「100万円×年0.001%×1日÷365日」で計算され、翌日も残高と金利が変動しなければ同様の数式で計算され、双方の利息が積み重ねられる。

 100万円を1年間預けた場合には、100万円×年0.001%=10円の計算だ。これは365日預けた場合なので、決算日を2月・8月とするならば半年分でおよそこの半分、そこから税金が差し引かれ、円未満が切り捨てられて口座に入金されることが平均像だ。

 ところが、新生銀行では、この利息計算の決算日を年2回ではなく毎月としている。一見すると利用者に都合がいいようだが、円未満の単位は口座に入金されないのが“ミソ”だ。先ほどの例で言えば、1年預けて税込み10円のため、12等分して1カ月単位にすれば1円に満たない。従って、同じ100万円を同じように1年間預けても、1円も利息を受け取れなくなる。同じ金利であっても、決算の頻度によって利息が受け取れなくなることに他ならず、極めて巧妙なコストカット策に映る。

今後も「身を切る対応」が必要なら
サービス縮小はまだまだ進む?

 金融実務者間では、かねてより新型コロナ感染拡大に伴うゼロゼロ融資の返済が本格化する2023年度以降の、債権の不良化が懸念されている。加えて、世界を震撼させるロシア軍のウクライナ侵攻が現実化した。信用保証協会の一時国有化などがうわさされる中では、今後、銀行側にも身を切る対応が求められる可能性がある。

 従って、銀行のサービスについては、今後も無料から有料へ、あるいは細かい手数料の引き上げなどが見込まれる。利用者目線では、今のうちにどうしても見つからない通帳やカードの再発行、無料インターネットサービスの加入、紙の約束手形が廃止される26年までの手形・小切手帳の事前購入などを行っておくことが、一案かもしれない。