就活生は面接を受ける企業に対して、内心どう思っているのか。 彼らの「心の声」を紹介しよう。学生の立場に立ったケアは、企業にとっても自社の採用戦略上、大きなポイントになる。採用担当者は歯に衣着せぬ意見を大いに参考にしてほしい。(文/ライター 奥田由意)
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)『息子・娘を入れたい会社2022』のコラムを転載したものです。
採用活動する企業や仕事自体に対して、就職活動する学生はどのような要望や疑問を持っているのだろうか。
採用される側というのは、どうしても立場が弱い。企業側の採用活動に不満や改善すべき点があってもなかなか声に出す機会がない。また、学生時の就職活動というのは一時のものなので、違和感があっても「今年、我慢すればいい」と、うやむやにしてしまいがちだ。そこで、学生38人から聞いた「心の声」を紹介する。
企業は彼らの疑問に真っ向から答えられるだろうか。「やはり大学生は社会を知らない」と笑うだけではすまない。大人があまりにも当たり前と、「流して」しまっていることに鋭い視線が投げかけられている。
やりたくない仕事については「もちろんそれなりにはあるが、なんとか対応できるようになるものだ」と言えるし、やりたくないことでも「丁寧に実績をつくって認めてもらい、自分のしたいことをしていくものなのだ」「無駄な作業をなくすための仕組みをつくることで変えられる可能性もあるものだ」と言ったりすることはできるだろう。
しかし、本当にそれだけだろうか。たとえば、若手社員が自分のチームの業務の無駄を見つけ、課長に効率化の仕組みを提案しても、「部長がうんと言わないから」という理由で結局、何も動かないということはよくある。そのようなことが繰り返し続けば、若者は職場を見限ってしまうはずだ。
学生は、社会に出ること自体への不安も多い。たとえば、マイペースだった大学生の生活から、急に社会人の規則正しい生活へと適応できるものかという懸念を持つことは当然だ。
社会人になりたての頃は緊張感もあり、自然に規則正しい生活に慣れていくものだが、コロナ禍で様相は変わり、リモートの普及で働く場所や時間も柔軟になってきている。そのため、以前よりも学生と社会人との生活リズムの切り替えは緩やかになっていくのかもしれない。
一方で、自分の時間はリラックスやインプットのためにも不可欠。使える時間が限られることで、かえって自分の時間の大切さがわかるはずだ。
学生の立場に立ったケアは、企業にとっても大きなポイントになる。これらの声を企業の採用担当者は大いに参考にしてほしい。