イライラや絶望感、心の動揺といったものを止められなくなります。

「あきらめは心の養生」ということわざもあります。「あきらめなければならないときは、思い切ってあきらめてしまうほうが、心の健康に良い。そのことを、いつまでもあきらめないでいることは、心の健康に悪い」という意味です。

 心が健康であれば、また別のことにチャレンジするときに、「今度こそは、やってやるぞ」という精神的なパワーが生まれます。しかし、心が不健康な状態になると、そのようなパワーがなくなり、立ち直る力を失ってしまうのです。

 ですから、どうしてもうまくいかないと判断したときは、あきらめることが肝心です。そうすると、動揺からもすぐに抜けだせ、次のチャンスへ向かう元気を早く取り戻すこともできます。

「あきらめる」は、漢字で書くと「諦める」になります。この「諦」という文字には、「真実を明らかにする」という意味があります。つまり、「これはもう、がんばっても不可能だ」という真実を明らかにすることが、「あきらめる」という言葉の本来の意味なのです。「がんばれば、どうにかなる」のか、それとも「がんばっても、どうにもならない」のかを正しく見極めることも、「動じない生き方」を実践するうえで大切になります。

自分にあった方法でリフレッシュ

 うまくいかないことがあったとき、気持ちの切り替えが早い人は、心が動揺しても、そこから早く抜けだすことができます。

「気持ちの切り替えが早い人」とは、「気持ちを切り替えるための自分なりの方法をもっている人」とも言えます。落ちこみやイライラ、怒りといったネガティブな感情は、そのまま放置しておいても、前向きな気持ちに切り替わっていくことはありません。

 何か具体的なことをすると、マイナスの感情からプラスの感情へと切り替わっていくのです。

 たとえば、親しい友人と会って楽しくおしゃべりをする。旅行にでかけて気分転換する。スポーツで思いっきり汗を流してリフレッシュする。お風呂にゆっくり入ってリラックスする。静かな環境で、ある程度の時間、瞑想する。