「ウクライナに送る衣類を買い取りたい」と家に入ってくる

 もう一つは、電話です。訪問業者から自宅に連絡があり、ウクライナに送る衣類を買い取りたいというのです。冬物の衣類をまとめて待っていたところ、来訪した業者は「衣類はいらないので貴金属を見せてほしい」と言ったそうです。貴金属はない、と答えると、衣類は夕方に取りに来ると言って帰りました。もちろん、引き取りには来ませんでした。

 他のパターンでは、ウクライナ情勢の影響で海産物の売り上げが激減したので協力してほしい、と北海道の事業者をかたった電話があったそうです。断り切れずに高額商品を注文してしまったそうですが、これも便乗詐欺の一種でしょう。そもそも北海道の商品ではなかったそうです。

やっぱり出た「ウクライナ支援詐欺」、善意につけこむ卑劣な最新手口とは「ウクライナに送る衣服の買い取り」と言って声をかけ、実際には貴金属を安く買い叩こうとする手口も確認されています Photo:PhotoAC

ウクライナ人になりすまし、ビットコインや寄付金を求める

 ウイルス対策ソフトを開発・提供しているAvastはブログで、ウクライナ情勢に便乗した暗号資産の詐欺について警告しています。サイバー犯罪者は混乱に乗じてウクライナ人になりすまし、金銭を詐取します。ランダムな文字列のユーザー名を大量に作り、多数の人にビットコインを求める手口です。

 Twitterのやりとりを見ると、ユーザー名はランダムな文字と数字で構成されており、会話もそこそこにビットコインの話を始めます。これらの詐欺はTwitterだけでなく、TikTokでも行われているそうです。

 同じセキュリティー企業のESETは、ウクライナ人をかたって寄付を募ったり、偽のウクライナ暗号通貨を買わせたりしようとしているスクリーンショットとともに、「サイバー犯罪者は恥じることがない。人道的な組織もなく、一般的な目的しか書かれていないのに、詐欺師は戦争中のウクライナを助けようとする人々からお金を引き出そうとする」とTwitterに投稿しました。

ニセ赤十字サイトで義援金をだましとる

 フィッシング詐欺メールで赤十字とそっくりなWebサイトを用意し、義援金を送らせようとする手口も横行しています。寄付金は公式の窓口に送りましょう。自分で検索し、義援金の送付先を調べるのです。決して、どこから来たのか分からないメールやメッセージに反応してはいけません。

 他にもクラウドファンディングで偽の募集をしたり、愛する家族が亡くなったので埋葬するお金を求めたりする手口もあります。必ず詐欺とは限りませんが、この機に乗じて暗号通貨や兵器への投資を持ちかけてくることもあります。

 大切な自分のお金を動かすときは、きちんと渡す相手を確認しなければなりません。在日ウクライナ大使館は、寄付金の銀行口座をTwitterで公開しています。大手企業が実施しているウクライナ人道危機への緊急支援金募集に応募するのもよいでしょう。例えば、楽天ポイントやPontaポイントなどをウクライナへの募金に利用することができます。

やっぱり出た「ウクライナ支援詐欺」、善意につけこむ卑劣な最新手口とは楽天のウクライナ人道危機 緊急支援募金ページ。クレジットカードや楽天ポイントで募金できます