ウクライナ侵攻における
プーチンの誤算

 ところが、今回のウクライナ侵攻は、プーチンの思うようには進まなかった。

 当初彼は、以下のような見通しを持っていたとされる。

・ロシア軍がウクライナに侵攻すれば、元お笑い芸人のゼレンスキー大統領は逃亡し、政権は即座に崩壊する。
・ロシアは、キーウ(キエフ)に傀儡(かいらい)政権を樹立することができる。
・傀儡政権は、クリミアをロシア領と認定し、ルハンシク(ルガンスク)、ドネツクの独立を承認し、NATO非加盟、非軍事化を確約する。
・ウクライナ国民は、ゼレンスキー・ネオナチ政権に飽き飽きしており、ロシア軍は「解放者」として大歓迎される。
・結果、「特別軍事作戦」は、短期間で終わる。

 プーチンは、2月24日にウクライナ侵攻命令を出し、2月27日には勝利宣言をするつもりだったという。

 しかし、実際の展開は、当初の思惑とはまったく異なり、以下の状況となっている。

・ゼレンスキーは、逃亡せずキーウに残ることで、「世界の英雄」になった。
・一方のプーチンは、「現代のヒトラー」(プトラー)と呼ばれ、歴史にその悪名を残すこととなった。
・ウクライナ国民は、ロシア軍を「解放者」ではなく「侵略者」と認識し、激しい抵抗を続けている。
・結果、戦争は2カ月過ぎても終わっていない。

 なお、4月12日付の読売新聞オンラインによれば、以下の通り、プーチンに間違った分析を流していたFSB第5局で「粛清が始まった」と報じられている。

<12日付の英紙ザ・タイムズによると、ウクライナ侵攻の難航を受けて、ロシア情報機関「連邦保安局(FSB)」に所属する職員約150人が追放された。侵攻前に「虚偽の情報」を大統領府に提供した責任を問われたという。
 追放された職員の大部分は解雇され、一部は逮捕された。全員がウクライナを含む旧ソ連構成国をロシアの勢力圏にとどめる活動を担う「第5局」の所属だった>