ウクライナ侵攻の
三つの大義名分

 プーチンやロシア政府高官は、「ウクライナ侵攻」の理由について、いくつかの理由を挙げている。

 一つ目は、ウクライナのNATO加盟を阻止することだ。

 昨年11月、ウクライナ国境沿いに大軍を集結させたプーチンは、米国、NATOに「ウクライナをNATOに加盟させない法的保証をしろ」と迫った。しかし、米国、NATOがこれを拒否したので、ウクライナに侵攻した。

 二つ目は、ルハンシク、ドネツクのロシア系住民をジェノサイドから救うことである。

 2014年4月に始まったウクライナ内戦は、2015年2月の「ミンスク2合意」で停戦が実現した。

 しかし、プーチンによると、その後もウクライナ軍は、ルハンシク、ドネツクのロシア系住民を「ジェノサイドしていた」という。そのことがロシア国営テレビで繰り返し報道され続けた結果、ロシア国民のほとんどが、ジェノサイドの話を信じている。

 そのため、プーチンが2月21日、ルハンシク、ドネツクの独立を承認したとき、反対の動きはなかった。彼が、「平和維持軍を派遣する」と決めたときも、「ロシア系住民を守るためには仕方ない」と、ロシア国民のほとんどが思ったのだ。

 三つ目の理由は、ゼレンスキー政権を「非ナチ化」「非軍事化」することだ。

 プーチンは、ゼレンスキー政権を「ネオナチ」と呼んでいる。