本記事を読んでくれている子ども世代の方に強く言いたい。親の金融資産の状況をぜひとも把握しておくべきだ。親の方が子どもよりも大きなお金を持っている場合が少なくないし、何よりも金融機関任せで「ひどいこと」になっている場合が実に多いのだ。「まず、親のお金を守れ!」。

父の遺産を母が相続したときに行った
読者の参考になる「3つの対策」

 さて、父が亡くなった時、母は81歳になっていた。当時は、100を切るスコアでゴルフコースを回るくらい元気だった。

 父が遺した金融資産は、長男(筆者)と長女(筆者の妹)が相続を放棄して全て母親が相続した。証券口座の資産は全て現金化して、銀行にあった預金と合わせて相続した。さて、これをどうするか。

 ここで筆者と母および筆者の妹が行った対策は、読者の参考になると思う。

(1)金融機関との取引の整理、(2)「2世代」を考えた運用、(3)母の認知症の可能性に備えた対策、の3点が骨子だ。

 まず筆者は、母と一緒に父が取引していた証券会社の支店を訪ねた。父の資産を現金化して母に相続して、同じ証券会社で運用することにしたのだ。

 筆者は、できれば母にインターネット証券で口座を持たせて、そちらに資産を移管したかったのだが、高齢な母が新規に証券口座を開設する手続きがそれなりに面倒だった。また、できれば父と取引があった証券会社で資産を運用したいと母が考えたことから、同じ証券会社の口座で父が遺した資産の運用を行うことにしたのだった。

 しかし、証券会社の営業担当者が母に電話を一本掛けて、その勧めに乗って資産が運用されるのでは極めてまずい。

 筆者は、支店の営業担当者(女性)に、彼女の上司にも同席してもらった上で、「母はもう80代なので、運用商品の勧誘は一切しないでください」と伝えることにした。先方は、快く同意してくれた。

「ここまでやるか?」と思う読者もおられようが、筆者の経験と見聞から判断するに「ぜひやるべきだ!」と思う。