介護は子どもが決める
自宅介護を基本としない二つの理由

 さて、親子の年齢にもよるだろうが、最晩年の親の介護は子どもにとっても親本人にとっても重大な問題だ。

 筆者の家のルールはシンプルだ。「親の最晩年にあっては、親について子どもが適切だと思う処置を決めて、親はそれに従う」。補足すると、意思決定に当たっては、子ども自身の活動の自由と都合を優先するのがいいとされている。

 子どもが親を、いつ介護施設に入れるかどうか、どこの介護施設に入れるかどうかを決定する。そして、その介護施設の費用は親が持っている資産で賄うのが基本だ。

 自宅介護をしないのか。してもいいけれども、それは基本ではない。

 理由が二つある。一つ目は、親はできるだけ子どもの活動の制約になりたくないということだ。もう一つの理由は、プロによる介護の方が作業の効率がいいことだ。

 父は、80代半ばまで、時に公的なサポートを利用しつつ母と2人で暮らしたが、最晩年の3年間ほどは札幌市内の介護施設で暮らした。母は、父が亡くなるまでほぼ毎日父の施設を訪ねた。現在、母はかつて父がいた施設にいる。施設は札幌市内にあり、子どもは2人とも東京にいるのだが、彼女の娘(私の妹)が頻繁に母と連絡を取ってくれている。

 筆者も、最晩年にあって配偶者や子どもの行動の制約要因にはなりたくないと思っている。いつ、どの施設に入ったらいいかについては、子どもの将来の判断に任せようと思っている。