伴氏が並走するプロ選手の1人に、鮎川真奈選手がいる。最近もチュニジアのツアーで優勝したテニスプレーヤーだ。テニスでは大会ごとにポイントが得られるが、有効期間は1年間しかない。日々、獲得したポイントが消える中で勝ち続けることが求められる、非常にシビアな環境で戦っている。

スポーツ心理学のプロが明かす、必ず勝てる「パワーパターン」の見つけ方<br />

 鮎川選手はプレッシャーからか、コートに立つことで首が絞まるような感覚や、頭痛を感じたりするなど、実力を発揮するには十分な状況ではないことがあったようだ。

「鮎川選手と並走しながら指導したのは、パワーパターンの徹底。たとえばタイブレークなど、どうしてもポイント獲得が求められるシーンで、ポイントが取れるバターンを見出すことに注力しました。鮎川選手は強烈なフォアハンドとサービス、リターンが武器でしたが、ポイントを取り切るパターンとして確立する必要があった。そのためにまずは、そういった武器を強く認識することから始めました」

混乱状況でも強みを発揮
独特のトレーニング法とは?

 伴氏の意識づけのトレーニング方法はユニークだ。「夜中の2時に寝ている際に起こされ、ラケットとボールを手渡せた時にどんなポイントを選択する?」「頭がまわっていない時にどれならポイントを獲得できる?」と、自分の武器はなんであるかという意識を、鮎川選手のスイス人コーチと共に徹底していく。「持ち合わせている技術と、自分らしさを活かしたらこのプレーができて、ポイント獲得の可能性が高まる。これで獲得できなかったら仕方ない」というところまで腹をくくらせるという。