元徴用工問題は
新政権下でも終結見えず

 朴振(パク・チン)次期外相候補は国会の聴聞会で質問に答え、日韓関係に対しては改善が必要だという従来の立場を繰り返しながら、両国対立の核心となっている元徴用工の個人請求権に関する大法院判決に対しては「司法府判断を尊重する」と述べた。

 日本のメディアによると、三菱重工は韓国の大田(テジョン)地裁が4月29日、三菱重工所有権特許権2件に対し、3例目となる資産特別現金化(売却)命令を出したが、三菱重工は直ちに再抗告したと報じており、終結は見えない。

 日本政府が韓国政府に対し、先んじて解決策を出すよう要求する中で、韓国政府が司法府判決を履行することになれば、いずれ日本企業の財産を現金化することになり、問題は泥沼化する。

 また、尹錫悦大統領は、昨年11月に「国内政治を外交に利用しない」と述べ、国内の世論をあおって日本と交渉する姿勢は取らないとしたが、同時に歴史問題に対しては、日本の謝罪が必要だという点を明確にしている。しかし日本は何度も謝罪を繰り返しており、韓国側の謝罪要求にはへきえきとしている。

 尹錫悦大統領は、日韓関係改善のためには「両国首脳間の信頼回復」と強調する。具体的な懸案について首脳同士の直接対話が重要なことは論をまたない。その意味で岸田首相の訪韓に期待していたのであろう。しかし、懸案解決の道筋が見えない中で日本側が容易に応じるとは考えていなかったのかもしれない。