岸田首相の訪韓について
韓国側は慎重な発言

 日本を訪問した政策協議団の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)団長(国会副議長、「国民の力」所属)は4月26日に岸田首相と会談し、大統領就任式に招待する旨を伝えた。だが、記者団の質問に対しては「通常、各国首脳の出席はその国が決めること。どの国の首脳でも出席意思を表明してくだされば最善の礼節を持って迎える準備をしている」と述べた。

 岸田首相の就任式出席に期待を示す一方で、それが実現しない場合にも、日韓両国の今後の外交交渉にマイナスの影響を及ぼさないよう予防線を張っていたということであろう。日本が動かないだろうと予見したということは、日本の現状を正しく理解しているということで、そのこと自体は肯定的に考えていいだろう。

 韓国が派遣した政策協議団に岸田首相が面会することには賛否両論があった。政策協議団が派遣されたのは尹錫悦氏の大統領就任前の時期であり、懸案の歴史問題解決のめども立っていない、という理由からである。しかし、日本政府・自民党・財界は政策協議団に対して最大限の丁重なもてなしを行った。

 政策協議団が面談した日本側のリストを見ると、岸田首相をはじめ安倍晋三元首相などの首相経験者と閣僚を網羅している。日本側としても、尹錫悦政権に期待をかけていることが感じられる。協議団の一人は「面談を申し入れて拒否された例はなかった」と述べている。

 この面談において岸田首相は、日韓関係悪化の原因となっているいわゆる元徴用工訴訟問題などについて、韓国側に国際法違反を是正するための対応を促した。岸田首相は面会後の記者会見で「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づき日韓関係を発展させていく必要がある。国と国との約束を守るということは国家間の関係の基本だ」と述べた。