選別される生保・損保・代理店#16Photo by Yoshihisa Wada

生命保険業界では、子会社を設立して乗り合い代理店市場や銀行窓販市場、少額短期保険市場へ進出する販売チャネルの多様化がトレンドだ。しかし、明治安田生命保険はその流れとは一線を画し、あくまで営業職員(生保レディー)による販売を主とする方針を貫く。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#16では、その理由を永島英器社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)

他生保の多様化路線と一線を画す
営業職員チャネル一本の方針

 2021年7月に明治安田生命保険のトップを引き継いだ永島英器社長。22年度は、期初からトップとしてかじ取りする最初の年度である。

 明治安田生命は、他の日系大手生命保険各社とは営業方針において、一線を画す。それが、かたくなに販路を営業職員チャネル(生保レディー)一本にするという方針を貫いている点だ。

 他社は乗り合い代理店や銀行窓口販売専門の子会社を設立するなど、多様化を一気に進めている。最近は少額短期保険市場にも、子会社を設立して参入するほどだ。

 営業職員が、顧客の自宅や職場に訪問することが難しくなっていることもあり、各社は多様な販路を持とうと必死だからだ。

 そうした他社の動向にピクリとも反応しない一方で、明治安田生命は営業職員チャネルについては、評価・給与制度を業界に先駆けて改革するなど、このチャネルに関する取り組みは目をみはるものがある。

 そこで今回、永島社長に改めて、他社のように販路の多様化に踏み切らず、営業職員チャネルのみに注力する理由に加え、営業方針についても話を聞いた。

変化が激しい時代だからこそ
営業職員チャネルが生きてくる

――21年7月に社長に就任されましたので、22年度は、期の初めから社長として取り組まれることになります。これまでの経営方針では、保険の販路については営業職員チャネルだけというものですが、業界では販路の多様化を進める会社が多い状況です。どのように考えていますか。

 これまでと基本的に方針は変わりません。

 逆に、大きな社会の変化が起こっていることを考えたときに、これまでの方針でやっていくことがより重要になっていると感じています。