尹錫悦大統領の外交基本路線は
韓米同盟と韓米日協力の強化

 ここで言う「敏感な問題の適切な処理」は、中国がTHAAD問題を追及する際に使っていた表現で、明らかに韓国のTHAAD追加配備へのけん制である。

 尹錫悦政権の外交基本路線は韓米同盟および韓米日の協力を強化することであり、米中間で中立を守ってきた文在寅外交からの離脱である。

 この路線の上で尹錫悦大統領は、文在寅政権での先述の「三不」政策の廃棄に言及している。

 また、尹錫悦大統領はウォール・ストリート・ジャーナル紙とのインタビューで、対中包囲網を形成するクアッド(日米豪印)について「招かれれば、参加を積極的に検討する」と述べている。

 さらに、バイデン大統領が発足させようとしているIPEF(インド太平洋経済枠組み)にも当初から参加する可能性がある(なお、IPEFは今月下旬のバイデン大統領の訪日時に発足する可能性がある)。

 中韓関係に山積する問題はいずれも、両国関係の根幹を揺るがしかねない問題である。しかし、北朝鮮の核ミサイル開発が高度化し、中国を頼りにできない現在、韓国としては米国との安保関係を強化していく以外に選択肢はない。

 ホワイトハウスのサキ報道官は、バイデン大統領が今月訪問する日本と韓国で、核の傘を含めた「拡大抑止」が「鉄壁だと明確に示す」と述べた。韓国としては、こうした米国の協力にすがらざるを得ないところまで来ている。