「中絶の権利廃棄」に米政界激震、最高裁判決の草案リークの波紋ワシントンの最高裁判所の前に抗議のため集まった市民たち Photo:The Washington Post/gettyimages

女性の中絶権利初めて認めた
「ロー対ウェイド判決」廃棄の報道

 米国の連邦最高裁判所が、女性に妊娠中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す可能性が高いことが明らかになり、米政界に激震が走っている。

 二大政党が厳しく対立してきた論争のど真ん中に、司法が踏み込んだ構図だ。

 中立的な存在だったはずの最高裁の信頼が揺らぐだけでなく、今秋の議会中間選挙やバイデンVS.トランプの再戦の可能性が高い2024年の大統領選にも影響を及ぼしそうだ。

「長年の論争」に突然の決着
保守派が多数占める最高裁

 1973年の「ロー対ウェイド判決」は、米国における妊娠中絶の権利を守ってきた歴史的な判決だが、その見直しは時間の問題になっていた。

 保守派は同判決の見直しを強く主張してきており、共和党のトランプ前大統領が保守派の最高裁判事を次々と誕生させた結果、最高裁では保守派の判事が6人と、リベラル派の3人を大きく上回る状況が生まれていたからだ。