視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。
ドン・キホーテの出店は
街の雰囲気を破壊したのか?
筆者は東京郊外の吉祥寺の近くに、30年ほど住んでいる。その間、吉祥寺の街の風景は、全体の雰囲気は残しながらも少しずつ変わってきた。
中でも大きめの変化といえば、2007年の大型家電量販店「ヨドバシ吉祥寺」のオープンだろう。そして、13年の秋、吉祥寺の雰囲気を壊してしまうのではないかと危惧された新規出店のニュースが飛び込んできた。井の頭公園側の南口に、ディスカウントストアのドン・キホーテ(以下、ドンキ)が開店するというのだ。
ところが、実際にその「ドン・キホーテ吉祥寺駅前店」が誕生しても、恐れていたほど街の風景が変わった印象はない、というのが筆者の感想だ。むしろ、従来の雰囲気に活気がプラスされた感じだ。
ドンキの吉祥寺駅前店の建物は、以前は「無印良品」だった。ドンキは、そのベージュの落ち着いた外壁の多くをそのまま残している。「激安の殿堂 ドン・キホーテ」と壁にロゴが描いてあるのだが、全体の雰囲気を破壊しないギリギリの線を突いているような気がする。
そしてもちろん、ドンキの象徴である「あのキャラクター」が入り口の上方にいる。そう、「ドンペン」という名のペンギンの巨大フィギュアが外壁に設置され、お客さんを迎えているのだ。