4月以降、食料品などを中心に値上げが相次いだ。ただ、これでも企業は原材料費や燃料費の上昇を全て転嫁しているわけではない。転嫁できない分は業績の圧迫要因となり、経済成長の足を引っ張る。スタグフレーション懸念も拭えない。特集『午後10時の日本経済 激変!為替・株価・物価』(全8回)の最終回では、エコノミスト11人への緊急アンケートに基づき物価と成長率の見通しを検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
企業物価から転嫁進まずも
じわりと上昇する消費者物価
1979年に発売された駄菓子の「うまい棒」の価格が、4月に10円から12円(税抜き)に引き上げられた。発売以来初の値上げだ。
理由は、原材料費や輸送費の高騰である。小麦などの穀物や原油などの国際商品の価格の上昇が大きく響いた。「うまい棒」だけでなく多くの食料品の値上げが相次いでいる。
政府はガソリン価格の高騰を抑制するために、石油元売り各社に補助金を出しているが、対症療法にすぎない。
現在でも物価が上がって困ると、多くの消費者が実感しているに違いない。
しかし、製品を出荷している企業は、小売価格以上の仕入れ価格の上昇に苦しんでいる。それは、下図にあるように消費者物価上昇率と国内企業物価上昇率の差を見れば明らかだ。
3月の国内企業物価上昇率は前年同月比9.5%であるのに対し、同月の消費者物価上昇率は同0.8%にすぎない。なお、消費者物価上昇率は、携帯料金引き下げによる影響で1.5ポイント前後低く抑えられている。
それを加えたとしても、2%台前半。国内物価上昇率との格差は大きい。とはいえ、消費者物価もじわりと上昇してきている。
今後、日本の物価動向はどうなるのか。物価上昇が消費を減退させ、インフレと景気後退が同時進行するスタグフレーションにつながる懸念も高まっている。そこでダイヤモンド編集部は、エコノミスト11人に日本の物価動向、経済成長率見通しについて聞いた。次ページでは、その回答結果に基づいて日本経済の先行きを予測していく。