自分らしく生きられる街を選ぶ
いざというとき「日本に帰れる」メリットも

 筆者の日本での留学時代のクラスメートで、上海で日系企業の支援を行うShanghai Est Information Consultingの社長を務める施琴さんは、“中国脱出”を考える中国人が急増する中、多くの日本人が上海にとどまる理由について次のように分析する。

「欧米人と比べると、日本の方は忍耐強い。厳しいロックダウンでも耐えられた。また、中国国内にいる中国人とは、いざというときに日本に戻れる選択肢があることが根本的に違うだろう。

 一方で、グローバル化が加速する中、そもそも誰がどこで暮らしてどう働くかは大きな問題ではなくなっていると感じる。国籍関係なく、現地の人々と協力し合って暮らしていくことは可能だし、それが重要なのではないか」

 上海にとどまることを決めた日本人にはさまざまな事情があった。いずれの人にも共通することは、自らがこれまで築いたネットワークや現地での生活の中で実感したことを踏まえて、どこでなら自分が望んだ生き方ができるのかを冷静に吟味していたことだった。上海の今後はまだ不透明な部分も大きいが、とどまる決意をした皆さんが一刻も早く元通りの生活に戻れることを強く願う。