「上海は大好き、でももう疲れた」中国の若者がまた1人、夢を諦め脱出したワケPhoto:PIXTA

6月1日、中国・上海で約2カ月間にわたって実施されていたロックダウンが解除された。街は活気を取り戻しつつあるが、長らく続いた厳しい生活に耐えきれず街を去った人は少なくない。特に、深刻な就職難に悩む若者たちによる「上海離れ」が加速しているようだ。(日中福祉プランニング代表 王 青)

中国の若者、約5人に1人が失業
深刻な就職難で強まる“安泰”志向

 5月16日、中国国家統計局は4月の失業率が6.1%に上昇したと発表した。特に若者の失業率の高さが深刻で、同月における16~24歳の失業率は18.2%と、統計開始以来、最も高い数値を記録したという。16~24歳の若者のうち、約5人に1人が職に就いていないことになる。

 加えて先日、中国教育部が発表した今年の大学新卒者の数は、前年より167万人増加。史上初めて1000万人を突破し、1076万人となった。

 中国最大手の人材会社「智聯招聘(ズーリェンザオピン)」が5月17日に発表した「2022年大学新卒の就業報告」によると、発表日の時点での内定率は男性が22%、女性が10%だった。いずれも低い水準だという。同時に、5月に入ってから中国経済が急速に悪化していることが、さまざまな経済指標で明らかになっている。

 筆者の知人である上海の名門大学の幹部も、「今年は卒業生の就職が最も厳しい年となる」と断言。「本校でも卒業したと同時に失業者となる学生が少なくない」と話す。