上海封鎖で「軟禁」経験でも帰国しない日本人、逃げる中国人も多い中なぜ?ロックダウンが解除された上海の街 Photo:Future Publishing/GettyImages

6月1日、中国・上海でロックダウンが解除された。約2カ月間にわたるロックダウンは、上海市民の心身に多大なダメージを与えた。経済的な打撃も大きく、上海、そして中国からの“脱出”を決めた人もいる。一方でこうした苦境を経験しながらも、上海にとどまることを固く決めている日本人も。彼らがそれでも上海を選ぶ理由は何か。話を聞いた。(日中福祉プランニング代表 王 青)

2カ月にわたるロックダウンにうんざり
上海、中国を“脱出”する人も

 中国最大の経済都市である上海では、3月末から約2カ月にわたって厳しいロックダウンが実施された。自宅の部屋から一歩も出てはいけない“軟禁状態”の生活は、地域によっては80日以上も続いていた。

 その間、ほぼ全ての経済活動がストップ。食料不足や、急病人や持病を持つ患者がただちに医療を受けられず亡くなるといった、いわゆるコロナ以外の二次災害が相次いで起こった。人々の心身に大きなダメージを与え、自殺するケースもあったという。

 ロックダウンは6月1日に解除されたが、今もなお公共交通機関を利用する際などには48~72時間以内のPCR検査の陰性証明が必要だったり、新たに14日間のロックダウンが実施される地域が続出したりするなど、混乱が続いている。多くの上海市民は、「先が見えない」と、解除された状況を素直に喜べていないようだ。そして、将来に関しては「とても不安だ」と口をそろえる。