リチウムを新たな石油というのであれば、ブレントやウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)といった広く取引されている原油先物指標を超えるような優れた答えが必要となる。原油価格の上昇は、電気自動車(EV)電池の原料となるリチウム価格と比べると緩やかだ。価格調査機関ファストマーケッツのデータによると、このところ一服感がみられるものの、炭酸リチウムと水酸化リチウムの現物価格はこの10年で5倍余りに跳ね上がっている。自動車メーカー各社は大規模なEV計画を立てているが、大きな需要の波は供給の遅れに跳ね返されている。とはいえ、リチウム価格の上昇はそれほど広く注目されていない。大半の人がいまだにガソリン車に乗っているということばかりが原因ではない。リチウムの現物は取引所でほとんど取引されておらず、EV価格には遅れて反映される。短期的には消費者をインフレからある程度守ることにはなるが、納車待ちの長いリストはEVメーカーが何カ月も先の原料費を予想して織り込む必要のあることを意味する。テスラは先週、最大6000ドル(約80万円)の値上げを発表した。