元財界トップは4社兼務
8割超が報酬1000万円以上

 そもそも、経営経験者や女性といった「担い手」は産業界全体でそこまで増えたわけではない。

 従って、複数の企業の社外取を務める「兼務」があちこちでみられる。例えば、経団連会長を務めた元東レ会長の榊原定征氏は、日本電信電話や関西電力など4社の社外取を兼ねている。

 起業家の秋山咲恵氏も、ソニーグループや三菱商事、オリックスなど超大手企業4社の社外取を兼務している。

 社外取にとってバブルの恩恵は大きい。上場する大手企業で構成するTOPIX100のうち8割が、1000万円以上の報酬を社外取に支払っている。3~4社を兼ね、数千万円規模の高報酬を得る社外取ももはや珍しくない。

 経営の陰に隠れ、社外取が直接スポットライトを浴びるケースは少ない。では、社外取たちは職責を果たしているのだろうか。

 今回、ダイヤモンド編集部は本邦初となる上場企業3700社の社外取「全9400人」を徹底分析。すると、「お飾り」でも高収入や、“老人支配”といった呆れた実態が続々と浮かび上がってきた。

 社外取は今や、経営トップの選定などに関わる会社の命運を左右する重要な存在だ。裏を返せば、社外取が腐れば会社も腐るのだ。

【訂正】記事初出時より以下のように訂正しました。
7段落目:33分の1以上 → 3分の1以上
(2022年6月28日15:28 ダイヤモンド編集部)