『週刊ダイヤモンド』7月2日号の第1特集は「社外取締役 上場3700社9400人の序列」です。ガバナンス改革の急加速で、バブルに沸く社外取締役。では、その実態とは。上場企業3700社の社外取「全9400人」の報酬や業績などで徹底分析した本邦初の「大物度」ランキングをはじめ、実名の9大ランキングを大公開し、まやかしのバブルを明らかにします。
空前のバブルに沸く「社外取」
女性社外取は10年で23倍増
「社外取をやりませんか。月イチで取締役会に出るだけでいいので」。大手メーカー幹部はそう声をかけられたという。

あるIRコンサルタントは企業関係者からこんな問い合わせを受けた。「女性なら誰でもいいので紹介してほしい」。
文字通り会社の外から招かれ、経営の「お目付け役」ともされる社外取締役が、空前のバブルに沸き立っている。
なぜか。背景には、経営を監督する仕組みであるコーポレートガバナンス(企業統治)改革の急加速がある。代表格が、2015年に東京証券取引所と金融庁がまとめたコーポレートガバナンス・コードだ。
21年の改定で、取締役の3分の1以上を社外取にすることや、取締役会の多様化などが上場企業に求められることとなった。
特需は数字にはっきりと表れている。企業統治コンサルティングのプロネッドによると、社外取を3分の1以上置く企業は15年にはわずか2割ほどだったが、21年には7割近くに達した。
女性の社外取も急速に増えている。同社の集計によると、11年にはわずか63人だった上場企業の女性社外取は今や23倍の1400人超。社外取全体に占める女性の割合も同じ期間で約4%から20%近くに伸びた。
社外取のニーズの急増で広がるのが、数社の社外取を掛け持ちする「兼務」である。それに伴い、報酬もうなぎ上りだ。