東芝の「島田体制」が今度こそ救世主になりそうな理由島田社長の手腕は東芝を蘇らせることができるのか Photo:REUTERS/AFLO

島田体制は失敗する?
「非上場化」は本当か

 東芝の経営陣に内紛が起こり、危機的状態だという。暗に「だから島田社長は失敗する」といわんばかりの憶測記事もある。確かに、今年3月の島田太郎社長の就任は他の電機メーカーの社長就任とは違い、他社が100m走を国立競技場で行っているとすれば、同じ100m走を山道で行うようなものだといえる。

 東芝の信頼は地に落ちている。2015年の粉飾決算では、すでに利益を出せる状況ではなかった事業を隠すことで、あたかも利益が出ているように繕った。その結果16年には、日本の電機メーカーとして最大となる7000億円以上の営業赤字と5000億円近い最終赤字を計上した。

 また、15年にはもうひとつの「隠し事」が発覚している。06年に買収した原子力事業子会社ウェスティングハウスの巨額減損処理、いわゆるのれん代減損処理を日経ビジネス誌にスクープされ、東芝も事実関係を認めざるを得なかった。

 このあたりから東芝の経営は迷走を続け、度重なる経営陣交代と経営方針のブレが目立つようになった。毎回発表される経営方針では、少しずつ異なる事業組織の提案、主要ビジネスの切り売りが行われ、東証も特設注意市場銘柄に指定し、このままいけば上場廃止も免れなかったはずだが、東芝はなんとか上場を維持すべく経営再建策を打ち出し続けた。

 結果、上場廃止を免れたものの、その後社長に就任した車谷暢昭氏はせっかく維持した東証1部上場を積極的に廃止しようとし、失敗している。上場維持が必ずしも良いことではない。しかし、あまりにも短期間に経営方針がぶれすぎた。昨今の「会社の3分割案がダメなら2分割」というのも、その一例といえる。

 今日でも、6月末の定時株主総会に諮る取締役候補に、大株主である海外ファンドの関係者が含まれていたことが波紋を広げており、「社長がアクティビストと話したから非上場化だ」「非上場化に向けてアクティビストを取締役に迎え入れるつもりだ」といった記事が散見される。しかし、本当に東芝に未来はないのであろうか。