贈り物で人を動かすには
自身のキャラ付けが重要

 とはいえ、「贈り物で人を動かす」というのは、やり過ぎると逆効果でもあります。実行時には自分のキャラにあった始め方を模索する必要はあると思いますが、この記事ではヒントとしていくつかパターンを挙げてみましょう。

 まずは、「自分の収入が低ければ低いほど、贈り物の効き目がある」ということは武器と考えるべきです。私の場合、大企業のトップから手土産で豪華な黒毛和牛をもらったりすることはよくあります。でも記憶に残るという意味では、フリーターの知人から「鈴木さん好きだって言ってましたよね」と言われて、ういろうをもらったときの方が強烈です。

 東京ではめずらしいお菓子を見つけ、私のことを思い出してくれて、あきらかに自腹で手土産にもってきてくれた。そのサプライズは、ずっと記憶に残るものです。これと同じで、ブラック企業の名ばかり店長が、部下のアルバイトに無理なシフトをお願いするようなケースで、「ごめんな」と言って休憩時間の後に自腹で買った缶コーヒーを手渡すようなやり方は、実は効くのです。

 贈り物キャラを定着させるのも、一つの方法です。大阪の気さくなご婦人には「あめちゃん」をいつも持っていて渡してくれる習慣がありますが、そのようなきさくな贈り物キャラなら何かもらった側も驚いたり警戒したりしないでしょう。

 この場合、重要なのはランダムにやることです。ついついお気に入りの相手や、入り込みたい相手にだけ贈り物キャラになってしまうと逆に周りの嫉妬を買ってしまったり、下手をすると悪いうわさをたてられたりするかもしれません。

 人数の多い職場では、出張から帰ってくるたびに何かお土産を部署単位で買ってきて、そのおまけであめちゃんサイズの個別のお土産もいくつか買うみたいな形で、それなりのきめ細かい作戦が必要とされるかもしれません。

 あと、上司として修羅場の差し入れ専門家になるという方向性はありです。