それが、贈り物を武器にすることです。

「いや、うちの会社、贈り物禁止ですから」という人も、何か学びがあるかもしれないので最後まで読んでみてください。

お中元もコロナ禍の義理チョコも
贈る人が減ったからこそ有効な手段

 2020年2月にバレンタインデー市場が縮小した際に、このような記事を書きました。「コロナでかつバレンタインデーが休日と重なった今年こそ、実は義理チョコを贈るチャンスだ」という記事です(詳細は『コロナ禍での義理チョコが、競争戦略として「最強」である理由』を参照)。

 日本にはもともと贈り物文化があって、今のようなお中元の時期には取引先や上司などに贈り物を送ったものでした。ところがコンプライアンスの問題や個人情報の問題があって、徐々にビジネスでの贈り物文化がすたれてきて、今ではお中元は家族、親族、友人向けの市場へと変わりつつあります。

 ここが着眼点で、贈り物をする人が減っている今だからこそ、贈り物攻撃は目立つし有効なのです。私自身の「動かされる立場」での例を挙げてみましょう。

 出張の際に手土産をもらうことは、今でもぽつぽつあります。ある私の取引先ですが、地方の営業所で「来客に地元の食べ物をお土産に渡す」という変わった習慣がある会社があります。これは実は効きます。その会社の哲学として、“地元とともに発展する”という考えがあっての習慣のようですが、もらった側はストレートにうれしいものです。帰りの電車内で食べたり、家族に喜ばれたりするのです。

 出張の打診があっても最近はリモートで済ませるのですが、その会社の場合、ついつい予定を調整して出向く頻度が多いのです。

「行くか断るかどっちにしようかなあ」と忙しさとてんびんにかける際に、おいしいものがもらえるというパブロフの犬のような要素がぐいっと出張側にてんびんを傾けるのです。