唐突感があった
首相の「資産所得倍増」論
7月10日投開票の参院選で自民党は大勝し、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の実行に弾みがつく結果となった。
岸田首相は5月にロンドンで行った講演の中で、政策を総動員して「資産所得倍増プラン」を進めると宣言した。
具体的には、「眠り続けてきた1000兆円単位の預貯金をたたき起こし、市場を活性化する」という。
このプラン打ち上げはいささか唐突感があったため、多少の驚きをもって受け止められたが、日本の家計金融資産があまりに預貯金偏重であり、資本の生産性を向上させる余地が大きいことは、かなり前から指摘されてきた問題だ。
その意味では、まっとうな政策が改めて掲げられたというべきだろう。
筆者がむしろ驚いたのは、「資産所得倍増プラン」が「人への投資」の一環として位置付けられていることだ。