プロテイン需要拡大へ
狙うはシニア世代

 右肩上がりのプロテイン市場だが、渡辺氏はコロナの収束と物価高騰によって、失速する可能性を指摘する。

「コロナでプロテイン市場が伸びたのは、巣ごもりで自分への投資が増えたことも一因。以前のように飲み歩けないし、イベントも旅行もできない中で、皆自分に投資するしかなくなった。だから、同様に脱毛なども需要が伸びたんです。しかし、今後コロナ前のような生活ができるようになると、今まで我慢していた分、イベントや旅行、外食などにお金を使うようになるでしょう。また、原料の高騰によりプロテインパウダーなども値上げされますから、若干の買い控えもあるかもしれません」

 そこで重要になるのがターゲット市場の拡大である。渡辺氏は、シニア世代まで浸透できるかどうかがプロテイン市場成長の鍵だという。

「プロテインはマッチョな男性が飲むものから、徐々に女性に裾野が広がったことで、現在のような市場の伸長を迎えました。女性の次は子どもです。すでにジュニア用プロテインも販売されていますが、さらに浸透させることが必要でしょう。そして、最終的にはシニア市場の獲得が重要になります」

 シニア世代は加齢による食欲の減退や消化能力の低下により、タンパク質が不足しがちだ。タンパク質は筋肉や血液、臓器などを構成する働きがあるため、シニア世代にこそ必要なものなのである。

「筋力が維持されることで、転びにくくなるなどメリットがシニア世代には多くあります。シニア世代はまだまだプロテインに対するイメージが一昔前のままなので、今後いかにメリットを浸透させるかが市場の成長につながります。あとは、パウダーをコンビニでバラ売りするなど、手軽に買えるような工夫があるといいですね」

 プロテイン市場のさらなるたくましい成長に期待したい。